「AIチャットボット」の従来型との違いと4つのメリット

AIチャットボットとは、AIを活用して、ユーザーからの質問や問い合わせに対して自動で回答を行う仕組みのことです。
従来のシナリオ型チャットボットと異なり、自然言語処理や機械学習を用いることで、あらかじめ想定していなかった質問にも柔軟に対応できる点が特徴です。
近年では、カスタマーサポートやECサイト、社内ヘルプデスクなど、様々な場面でAIチャットボットの活用が進んでいます。
AIチャットボットには、主に以下のようなメリットがあります。
① 想定外の質問にも柔軟に対応できる
② 機械学習によって回答の精度が継続的に向上する
③ 問い合わせ対応の工数を削減し、人的リソースを最適化できる
④ 多言語対応や情報更新を効率的に行える
この記事では、ワークフロー型AIエージェント「SamuraiAI」の開発を手がける株式会社Kivaに所属する筆者が、AIチャットボットが従来のチャットボットとどう違うのか、また、そのメリットから実用上の限界まで、AIチャットボットについて詳しく解説いたします。
「AIチャットボット」と「従来型チャットボット」の違い
まずは、AIチャットボットと従来のチャットボットとの違いについて見ていきます。同じチャットボットであっても、対応できる範囲や運用の考え方には明確な差があります。以下の比較表をご覧ください。
◆AIチャットボットと従来型チャットボットの比較表
項目 | 従来型チャットボット | AIチャットボット |
|---|---|---|
仕組み | 事前に設定したシナリオ・ルールに沿って応答 | 自然言語処理・生成AIを活用して応答 |
入力方法 | 選択肢クリックや定型文が中心 | 自然な文章での質問に対応 |
対応範囲 | 想定された質問のみ対応可能 | 表現の揺れや曖昧な質問にも対応 |
想定外の質問 | 対応できない、またはエラーになる | 文脈を踏まえて回答を生成 |
多言語対応 | 言語ごとに翻訳・シナリオ作成が必要 | 標準で多言語に対応しているケースが多い |
メンテナンス | シナリオの枝分かれが増えるほど複雑化 | 回答の根拠(ナレッジ)を更新するだけで済む |
運用・改善 | 手動でのシナリオ修正が中心 | 学習・調整により柔軟に改善可能 |
主な用途 | FAQ対応、簡易案内 | 問い合わせ対応、業務支援、情報検索 |
「従来型チャットボット」は「シナリオ型チャットボット」とも呼ばれ、あらかじめ用意したシナリオに沿って回答する仕組みのため、質問のパターンが限定されている場合には有効なツールです。
一方で、利用シーンが増えるほどシナリオが枝分かれし、保守・管理が複雑になりやすいという課題があります。また、多言語対応を行う場合、言語ごとに翻訳やシナリオを用意する必要があるため、運用の負荷が高くなります。
「AIチャットボット」は、自然言語処理や生成AIを活用することで、表現の違いや曖昧な質問にも対応できます。多くのサービスでは多言語対応が標準機能として提供されており、グローバル対応や訪日顧客向けのサポートにも活用しやすい点が特長です。
さらに、回答内容の修正や追加も、シナリオを細かく作り込む必要はなく、基本的には参照する情報源を更新するだけで対応できることが多く、継続的な運用の負担を抑えられます。
このような違いから、AIチャットボットは従来型のような自動応答ツールではなく、実運用を前提とした「業務支援ツール」として導入される場面が増えています。
AIチャットボットを導入する4つのメリット
AIチャットボットは、従来のチャットボットでは対応が難しかった部分までカバーできる点に大きなメリットがあります。ここでは、AIチャットボットならではの主なメリットについて解説いたします。
メリット① 想定外の質問にも柔軟に対応できる
従来型チャットボットは、あらかじめ想定した質問や選択肢に基づいて応答するため、少し表現が変わるだけで対応できなくなることもありました。
AIチャットボットは、ユーザーの入力を意味として理解するため、言い回しの違いや曖昧な質問、また複数の情報を含んだ質問などの想定外の質問にも対応できます。
この柔軟性により、ユーザー側が「正しい聞き方」を意識する必要がなくなり、より自然な対話が可能になります。
メリット② 機械学習によって回答の精度が継続的に向上する
AIチャットボットは、運用を続けることで回答精度が高まっていく点も大きな特長です。問い合わせ内容や利用データをもとに改善を重ねることで、初期導入時よりも精度の高い応答が可能になります。
従来型チャットボットのように、シナリオを一つずつ作り直すといった運用は不要になり、ナレッジの更新や学習データの蓄積によって、全体の応答品質の底上げが可能になります。
メリット③ 問い合わせ対応の工数を削減し、人的リソースを最適化できる
AIチャットボットは、一次対応や情報提供を自動化できるため、問い合わせ対応にかかる工数を削減できます。
これにより、人件費や教育コストを抑えられるだけでなく、人間は「クレーム対応」や「高度なコンサルティング」といった、より付加価値の高い業務に専念できるようになります。
結果として、業務全体の生産性向上や、対応品質の安定化につながります。
メリット④ 多言語対応や情報更新を効率的に行える
多くのAIチャットボットは、多言語対応を前提とした設計になっており、言語ごとにシナリオを用意する必要がありません。
また、回答内容の修正や追加も、参照するナレッジを更新するだけで反映できるケースが多く、運用負荷を抑えられます。
外国語ができるスタッフを雇うことなく、海外の顧客や、国内の外国人ユーザーへの対応が可能になるため、ビジネスの市場を安価かつスピーディに広げることができます。
このように、AIチャットボットは「自動で答える」だけでなく、柔軟性と成長性を備えたツールである点が大きな特長といえます。
AIチャットボットの活用事例「AmazonのRufus」
ここでは、AIチャットボットの実際の活用事例を紹介します。その代表的な例のひとつが、Amazonが提供しているAIチャットボット「Rufus(ルーファス)」です。
Rufusは、Amazonのショッピング体験の中に組み込まれたAIチャットボットです。ユーザーは検索キーワードを入力する代わりに、自然な文章で質問できます。
◆Rufusでの質問例
「初心者向けのキャンプ用品を探している」
「子ども向けで安全な食器はどれ?」
「この商品と似たものを比較したい」
このような曖昧で条件が多い質問でも、文脈を理解したうえで商品候補を提示します。以下は、筆者が実際にRufusを使ってみた際のスクリーンショットです。
◆Rufusの実際の利用画面

左画像の例では、コーヒー豆の商品URLを指定したうえで「この商品の良いレビューと悪いレビューを要約してください」と、自然な文章で質問しました。
Rufusは、数多く存在するカスタマーレビューをもとに、高く評価されているポイントと不満として挙げられているポイントを整理し、文章として分かりやすく要約してくれました。
このやり取りは、AIチャットボットが文脈を理解し、情報を再構成できることを示しています。
右画像の例では、「アウトドアでも使える、割れにくいグラスを教えてください。容量は400mlくらいが希望です」 と、用途や条件をまとめて質問しました。
Rufusは、「アウトドア用途」「割れにくさ」「容量の目安」という複数の条件を読み取り、それに合致する商品を提示してくれました。
ここで重要なのは、検索キーワードを分解して入力していない点です。自然な文章で要望を伝えるだけで、条件に合う商品を探し出してくれる点に、AIチャットボットならではの価値があります。
従来のチャットボットでは、適切なキーワード(商品名や説明文にヒットするワード)を考える、または条件を一つずつ絞り込むといった操作が必要でした。
一方でRufusは、ユーザーの意図を会話から読み取り、「何を探しているのか」「何を重視しているのか」を理解したうえで情報を提示します。
これは、AIチャットボットの「想定外の質問にも対応できる」「文脈を理解して回答できる」という特長が、実サービスとして活かされている好例といえます。
参考:Amazonの生成AIを搭載した対話型ショッピングアシスタント Rufus(ルーファス)、日本のすべてのお客様が利用可能に(Amazon Japan)
AIチャットボットの限界とは?
AIチャットボットの活用メリットについてはすでに述べましたが、一方で、活用範囲を広げるためには、AIチャットボットの限界についても正しく理解しておくことが重要です。
なぜなら、AIチャットボットの限界を把握せずに導入すると、期待とのギャップが生じたり、運用上のトラブルにつながったりする可能性もあるためです。
ここでは、AIチャットボットを実務で活用するうえで押さえておくべき「できないこと」「任せきれないこと」について解説いたします。
限界① 業務を自律的に進め、完了させることはできない
AIチャットボットは、質問に答えたり、情報を提示したりすることは得意ですが、業務全体を把握し、状況に応じて次の行動を選びながら、最後まで自律的に実行することは困難です。
◆AIチャットボットにはできない実行例
・複数のツールを横断して操作する
・手順を判断しながら作業を進める
・結果を確認し、必要に応じて修正する
このような一連の業務プロセスは、基本的に人の手が必要になります。
限界② 判断や責任を伴う業務には向いていない
AIチャットボットは、過去のデータやナレッジをもとに回答を生成します。そのため、最終的な意思決定や例外対応、または責任の所在が問われる判断が必要な業務には適していません。
特に、判断を誤ることでリスクが生じる場合、人による確認や意思決定を前提とした運用が不可欠になります。
限界③ 前提が曖昧・矛盾している質問には正しく答えられない
AIチャットボットは文脈を理解できますが、質問の前提そのものが曖昧であったり、矛盾していたりする場合、正しい回答を返せないことがあります。
例えば、条件が不十分な質問や、現実的に成立しない前提を含む質問などです。このような質問がされた場合、回答が一般論に寄ったり、期待とずれたりするケースがあります。
限界④ 「共感」や「空気を読む」といったことができない
AIチャットボットは言葉の意味を理解できますが、複雑な感情や、場の空気を読み取ることはできません。
この点は、通常の商品検索や手続きなどにおいては、特に問題になることは少ないですが、例えば、強い不満や怒りを抱えた顧客や感情が高ぶっているクレーム対応といった場面においては、マニュアル通りの明るい返答をしてしまい、結果としてより事態を悪化させてしまう可能性もあります。
そのため、クレーム対応の初期はAIチャットボットが一次対応を行い、状況に応じて人が対応を引き継ぐといった役割分担をする必要があります。
限界⑤ ハルシネーションのリスクがある
AIチャットボットは、確率的に文章を生成する仕組みを持っています。そのため、事実確認が不十分な場合でも、もっともらしく回答してしまうことがあります。この現象は「ハルシネーション」と呼ばれています。
◆生成内容に含まることがあるハルシネーションの例
・実在しないURL
・架空の制度や法律
・正確でない数値や根拠
近年、AIのアップデートも急速に進んでおり、回答の精度は格段に上がっていますが、2026年現在でも、この問題は完全には解消されていません。
そのため、AIチャットボットを提供・運用する側には、回答を盲信させないための設計や運用が求められます。
◆回答を盲信させないための設計上の工夫
・回答内容が参考情報であることを明示する注意書きを記載する
・根拠となる情報源や参照データを併記する
・重要な判断や確定情報については、人による確認が必要である旨を案内する
このような対応を行うことで、誤情報によるリスクを低減できます。
AIチャットボットは、最終的な正確性や判断を完全に担保するものではないという前提を、サービス設計の段階で必ず組み込んでおくことが重要です。
AIチャットボットの進化形としての「AIエージェント」
AIチャットボットの活用が進むにつれ、質問に答えるだけでなく、その先の作業まで任せたいというニーズが生まれてきました。
そこで現在、AIチャットボットの進化系として、業務の実行までを視野に入れたAIエージェントが注目されています。
AIエージェントとは、ユーザーとの会話において単に情報を返すのではなく、目的やゴールを理解し、必要な作業を実行するAIです。
AIチャットボットが主に担うのは、「質問を受け取る」「意図を理解する」「情報を整理して返す」といった役割です。
一方、AIエージェントはその対話をもとに、「何をすべきかを判断する」「作業を分解する」「ツールやシステムを使って実行する」といった、業務そのものを前に進める役割を担います。
ただし、AIエージェントはAIチャットボットに取って代わる存在というわけではありません。両者は競合関係ではなく、役割の異なる存在として棲み分けられるものです。
◆AIチャットボットとAIエージェントの違い
項目 | AIチャットボット | AIエージェント |
|---|---|---|
主な役割 | 質問への回答、情報提供 | 業務の実行、タスクの完了 |
ゴール | 会話が成立すること | 業務が完了すること |
対応範囲 | 単発・会話中心 | 複数ステップの業務 |
ツール操作 | 原則として行わない | 外部ツールやシステムを操作 |
判断の主体 | ユーザー主導 | AIが状況を判断し行動 |
活用シーン | FAQ、問い合わせ対応 | 業務自動化、作業代行 |
この比較から分かる通り、AIチャットボットとAIエージェントは、優劣の関係ではありません。情報提供や一次対応はAIチャットボット、実際の作業や業務の実行にはAIエージェントといった形で、それぞれの強みを活かして使い分けることが重要です。
近年では、このような両者の役割を組み合わせた形として、チャットボットとしての親しみやすい対話UIを持ちつつ、裏側ではAIエージェントとしてタスクを実行する「エージェント型チャットボット」も増えています。
表面上は従来のAIチャットボットと同じように会話を行いながら、ユーザーの指示や目的に応じて、内部では業務の分解やツール操作を行う点が特徴です。
このように、対話(チャットボット)と実行(エージェント)を分離せず、一体として設計するアプローチが、近年のAI活用では主流になりつつあります。
対話から業務まで実行できるAIエージェント「SamuraiAI」
SamuraiAI(サムライ エーアイ)は、ウェブブラウザ上の操作を自動化できる「ワークフロー型AIエージェント」です。
自然言語で業務内容を指示すると、その内容に基づいてAIがPC画面上の操作を自律的に実行し、あらかじめ設計されたワークフローに沿って業務を進行できます。
◆SamuraiAIの主な特徴
・GUI操作に特化したAIエージェント設計 SamuraiAIは、専用ブラウザを用いてウェブサービスの操作を行います。API連携が用意されていないサービスであっても、人が操作できる画面であれば自動化対象にできる設計です。
・自然言語によるワークフロー作成 業務内容を自然言語で指示すると、その内容をもとにワークフローを構築できます。専門的なプログラミング知識を必要とせず、業務フローの設計・修正をノーコードで行える点も特徴です。
・LLMを活用した高度な判断を含む自動化
SamuraiAIは、単純な条件分岐だけでなく、LLM((Large Language Models:大規模言語モデル))を活用して文脈理解や判断を取り入れながら、ワークフローを進行できます。
AIチャットボットとしての活用
SamuraiAIはAIエージェントであり、チャットボットではありませんが、ユーザーからの自然言語入力を起点に、裏側でGUI操作を伴う業務ワークフローを実行するという構成を取ることができます。
そのため、対話的なUIと業務実行を組み合わせた形で利用することで、チャット体験を入口に業務を進めるAIエージェントとして機能します。
例えば、SamuraiAIをECサイト向けに設計・実装した場合に、以下のようなワークフローが構築できます。・
・商品案内やレコメンド応対 フロントではユーザーの質問を受け取り、裏側では商品情報を参照しながら、条件に合う商品を提示するフローを構築できます。
・在庫、配送情報の照会 在庫管理画面や配送管理画面にアクセスし、対象商品の在庫状況や配送目安を確認したうえで、結果を返すワークフローを設計できます。
・購入サポート、注文状況確認 注文番号などをもとに、受注管理画面でステータスを確認し、必要な情報だけを抽出してユーザーに案内します。
・FAQや返品ポリシー案内とエスカレーション 事前にインプットした情報に基づく自動回答を行いつつ、判断が難しいケースでは人間のスタッフに引き継ぐフローを組み込めます。
SamuraiAIは、GUI操作を自動化できるワークフロー型AIエージェントとして、従来のチャットAIやRPAではカバーしきれなかった業務領域を担える設計になっています。
対話・判断・画面操作が複雑に絡む業務においても、適切なワークフロー設計を行うことで、実務レベルでの自動化を実現できます。
まとめ
AIチャットボットは、問い合わせ対応や情報提供を効率化する手段として、すでに多くの現場で活用されています。しかし、その役割はあくまで「答えること」にあり、実際の業務を完了させるところまでは担いきれません。
こうした流れの中で注目されているのが、対話を起点に業務を実行できるAIエージェントの存在です。
AIチャットボットとAIエージェントは競合関係ではなく、役割の異なる存在として、情報提供や一次対応はAIチャットボット、その先の業務実行はAIエージェントという使い分けが現実的な活用形といえます。
その発展形として、対話的なUIと業務実行を組み合わせた活用も広がりつつあります。
SamuraiAIは、ブラウザ上のGUI操作を自動化できるワークフロー型AIエージェントとして、こうした流れを実務レベルで支えます。詳しくは、下記の公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。